日本企業を取り巻く内外環境の変化を受けて、ここ数年間で旧来の日本型雇用システム(メンバーシップ型)を抜本的に見直し、雇用や人事の仕組みを「ジョブ型」に転換する企業が急増してきました。また昨今では、コーポレートガバナンスコード改訂、人的資本経営、人財版伊藤レポート2.0、ISO30414等の新たな人事の潮流も加速したことで、メンバーシップ型からジョブ型へという大きなトレンドが出来つつあります。そうした中、各企業は、自社の経営戦略・事業戦略・人事戦略と照らし合わせた上で、自社に最適なジョブ型への転換や導入の方法を模索しているのではないでしょうか。
今回の人事戦略フォーラムは、こうした多くの企業のジョブ型への転換を支援・指導されてきたコーン・フェリー・ジャパンの柴田氏、また人事責任者として自社にとって最適なジョブ型の仕組みを検討し、導入~検証~改善されてきた富士通の平松氏、第一生命ホールディングスの山口氏をお迎えし、ジョブ型雇用/ジョブ型人事のこれからを考察するプログラムとしました。
人事担当の役員や人事部長、人事企画・人材開発の責任者クラスの方々に是非お薦めしたいプログラムです。日本CHO協会の会員以外の方でも参加出来ますので、奮ってご参加ください(参加費無料)。
【プログラムのご紹介】
【PART1】 [基調講演] ジョブ型雇用とジョブ型人事の現在、これから
- コーン・フェリー・ジャパン 柴田 彰 氏
【PART2】 [事例紹介①] 「ジョブ型」人材マネジメントの導入
~富士通株式会社の取り組みと変化~
- 富士通 平松 浩樹 氏
【PART3】 [事例紹介②] 「ジョブ型」思想と伝統的価値観の融合
~第一生命ホールディングスにおける人事制度変革の取り組み~
- 第一生命ホールディングス 山口 仁史 氏
【PART4】 [トークセッション] 2社の取り組み事例から「ジョブ型」の本質を考える
- [パネリスト]
- 富士通 平松 浩樹 氏
第一生命ホールディングス 山口 仁史 氏 - [モデレータ]
- コーン・フェリー・ジャパン 柴田 彰 氏
【登壇者のご紹介】
コーン・フェリー・ジャパン株式会社 コンサルティング部門責任者 柴田 彰 氏
- メッセージ
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一昨年来、日本において一つのブームとなっていたジョブ型雇用、もしくはジョブ型人事の論争も、現在は一段落したかと思います。昨年までは、明確な目的意識がないままに、ジョブ型への移行を検討する企業が後を絶ちませんでしたが、今年に入ってからは腰を据えてジョブ型を考えようとする企業が多くなってきたと感じます。これはとても健全で、建設的な進歩だと思います。
ジョブ型雇用とジョブ型人事(制度)は、両者が混然一体、あるいは同一のものとして議論されるケースが多いですが、本来は両者を別物として考えていくべきです。これまでは、両者を無自覚的に混同して捉える企業が多かったのですが、それぞれを意識的に別々に捉え、自社なりの整理をつけようとする企業が出てきています。そうした企業では、型通りではない自社に適した形でのジョブ型の仕組みが設計されています。
ジョブ型は、明確な思想を持った一つのシステムです。ただし、企業を取り巻く人材市場や、自社の成長戦略など、幅の広い変数を考慮した上で具体化をしていく必要があるものです。そのため、ここ日本において、どんな企業にも当てはまる万能な解などはありません。
自社に適したジョブ型雇用と人事の姿を検討するために考えるべき論点について、本プログラムでは考えていきたいと思います。 - プロフィール
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慶應義塾大学文学部卒。コーン・フェリー・ジャパン(株)において、幅広い組織・人事テーマを取り扱うコンサルティング部門を統括。近年は特に、ジョブ型人事への転換や、役員体制の改革・CEOサクセッションといった、経営体制の高度化に関する支援実績が豊富。
主な著書に『経営戦略としての取締役・執行役員改革』『ジョブ型人事制度の教科書』『VUCA 変化の時代を生き抜く7つの条件』『エンゲージメント経営』など。寄稿や講演なども多数。
富士通株式会社 執行役員 EVP CHRO 平松 浩樹 氏
- メッセージ
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先行きが見通せず、将来の予測が困難な時代においては、「人」が最大の経営資源かつ顧客価値の源泉であると考えています。新型コロナウイルスの影響で、働き方や価値観が大きく変わりました。このような環境の変化を背景に、日本の従来のメンバーシップ型雇用システムの見直しと、「ジョブ型」への転換が注目されています。
弊社では、2020年4月から幹部社員に、2022年4月からは一般社員に、「ジョブ型人材マネジメント」の考え方に基づく新たな人事制度を導入しました。
ジョブ型人材マネジメントでは、自律した社員と信頼関係を築くことを目指しています。社員一人ひとりが価値を最大化させるためには、主体的に自らのキャリアを考え、その実現に向けて必要なスキルや経験の習得を支援することが重要だと考えています。
ジョブ型人材マネジメントを中心に、一気通貫で人事制度のフルモデルチェンジを行い、ビジネス戦略と人材戦略のアライン強化に取り組んできました。新たな人事制度の導入と合わせて、社員が変革を自分事化し、自律的に挑戦し学ぶ環境を整えると共に、DX人材として求められる基礎的なスキル・マインドを習得できる体系的なサポートをしています。
本フォーラムでは、弊社のジョブ型人材マネジメントの取り組みと合わせて、導入後の社員からの反応や変化を共有し、「ジョブ型」の今後について考えたいと思います。 - プロフィール
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1989年富士通(株)に入社。2009年より役員人事の担当部長として、役員人事・グローバル役員報酬の制度企画や指名報酬委員会の立上げ等に参画。2018年より人事本部人事部長として、タレントマネジメント、幹部社員人事制度企画、ジョブ型人事制度の企画を主導。2020年4月より執行役員常務として、ジョブ型人事制度、ニューノーマル時代の働き方・オフィス改革に取り組んでいる。 2021年より現職。
第一生命ホールディングス株式会社 執行役員 人事ユニット担当 山口 仁史 氏
- メッセージ
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経営を取り巻く国内外の環境が激しく変化し、将来への不透明感・不確実性も増す中、お客さまに選ばれ続ける会社であるためには、従来以上に人財の力を引き上げていく必要があると考えております。
こうした認識の下で、弊社では、2020年7月に社員層の人事制度の大規模改定、2022年7月に役員層の報酬体系の大幅見直しを実施しました。社員層の人事改定においては、職務グレードの複線化、職務要件・ロードマップの明確化等を行い、社員一人ひとりが自律的にキャリアを考え、選択し、組織と共に成長してもらうための改定を行いました。また、役員層の報酬制度については、より各役員の役割・責任の大きさや、求める期待値、業績の達成度合い等を公正に反映した内容とし、かつ、グローバル視点での活用も視野に入れた設計とするための改定を行いました。 両制度の検討においては、各ポストが果たすべき役割・職責はどうあるべきか、知識・経験の深さ、視点の高さ、成果に対する責任度合い等の観点から様々な議論を行いました。その過程では、ジョブ型的な視点と従来積み上げてきた価値観をどう融合させ、発展させるのかも論点となりました。
本フォーラムでは、未だ変化の途上にある弊社の取り組みをご紹介した上で、議論の素材としていければと考えております。 - プロフィール
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1989年一橋大学商学部卒業後、第一生命保険相互会社に入社。2010年経営企画部部長、2014年国際業務部部長を経て、2015年インドのスター・ユニオン・第一ライフ株式会社副社長、 2019年第一生命保険ホールディングス株式会社人事ユニット長。
2021年4月より執行役員 人事ユニット担当(現職)。米国、インド、日本の3か国にて、人事関連業務を経験。
【開催日時】
2022年9月9日(金) 13:30~15:30
【参加にあたってのお願い】
本フォーラムは、感染防止策としてZoomを活用したオンラインセミナーです。
ネットワーク環境を整えた上でご参加ください。