DEIとLGBTQ+を取り巻く最新事情
2023年のダイバーシティ&インクルージョンを振り返る
そして、LGBTQ+への企業としての支援を考える
株式会社JobRainbow 代表取締役CEO 星 賢人 氏
野村ホールディングス株式会社 DEI推進室 室長 中西 康恵 氏
今回のダイバーシティ研究会は、2つのテーマをプログラム化しました。
(1)「人的資本経営」の中で注目されるダイバーシティ&インクルージョンの最新事情
(2)LGBTQ+に関する正しい認識と、インクルージョンの視点から企業に求められること
数多くの企業のダイバーシティ&インクルージョン推進とLGBTQ+への支援を続けている(株)JobRainbow代表の星賢人氏と、人材の「多様性」こそ重要な経営基盤であるとの認識のもと、トップダウンとボトムアップの両輪でDEI活動を積極的に進めている、野村ホールディングス(株)の中西康恵氏をお迎えし、講演と対談を通じて2つのテーマを掘り下げました。
以下は講演と対談それぞれの要旨です。
【PART1】 2023年のD&Iトレンドと2030年のD&Iの未来予測 〜LGBTQ+の最新情勢を中心に〜
株式会社JobRainbow 星 賢人 氏
(株)JobRainbowでは「自分らしくを誇らしく、差異を彩に」をビジョンに、D&I採用事業とD&Iラボ事業の2軸にて事業を展開し、またD&Iに取り組む企業にスポットを当てた認定や表彰を行うD&I AWARDの運営も担っています。
2023年D&Iに”E”が加わり、DE&Iへ変化したことに伴い、Equity(公平な機会へのアクセスが出来る環境整備)が進み始め、Experience & Engagement(従業員体験やエンゲージメント向上)への注目度が高まり、それに加えて人的資本経営の観点からも非財務分野やD&Iの重要性が増した1年だったと言えます。また、高年齢者雇用安定法、女性活躍推進法や育児・介護休業法の改正、障がい者の法定雇用率の引き上げ等、社会的な法制度も大きく変わりました。
2030年に向けて今後はBelongingness(帰属意識)が加わったDEIBがキーワードとなります。
従業員各々が会社に所属出来ていると実感できるか、本質的な組織のあり方に焦点が移り、より分析的で専門的な取り組みも必要になり、D&Iの重要度は益々高まっていくと予想出来ます。
そのような中でD&I人財や、ジェンダー・障がい・多文化共生・LGBTQ+・シニアといった様々な切り口での人財の育成や活躍支援が不可欠となりますが、本日の講演では、LGBTQ+への理解・支援策を中心に、企業として何をすべきかを考えていきます。
最新の調査では、国内では10人に1人、9.7%、約1200万人がLGBTの当事者に該当すると言われています。そのうち、職場でカミングアウトしたいと思う当事者は42%であるのに対し、実際に職場の同僚にカミングアウトしている割合は僅か5.8%です。カミングアウトが少ない原因は、差別的な発言を頻繁に経験していることであり、当事者の転職率の増加、生産性や勤続意欲の低下にも繋がる大きな課題となっています。一方、LGBTQ+に対する取り組みを行なっている企業ほど、その企業で働く従業員の勤続年数が長いこと、D&Iに取り組んでいる企業は財務パフォーマンス(ROE)回復が圧倒的に速いこと、多様性のある組織では離職率が改善し、生産性や収益性も向上すること等が、様々な調査結果から明らかになっています。
これらのことから、LGBTQ+の取り組みには「危機管理」と「機会創造」の2つの大きな意味合いがあると考えています。「危機管理」の観点では、LGBT法案が2023年6月に施行されたことに伴い、社内の無理解が訴訟や労災申請に繋がる可能性があり、経営として対応を一歩間違えば、数百億の企業価値が吹き飛ぶリスクがあるとも言えます。一方「機会創造」の観点では、離職率改善に伴う採用コストの削減や、生産性向上に伴う利益増加にも繋がることから、LGBTQ+の取り組みは、数百億円規模の企業防衛と数十億円規模の利益インパクトの両面を持った、極めて費用対効果の高い施策であると言えるのではないでしょうか。
1.LGBT法案とは?
LGBT法案とは「性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律」で、罰則のない”理念法”(努力義務)です。企業に関する内容として、事業主には「普及啓発」「就業環境の整備」「相談機会の確保」がそれぞれ努力義務として求められています。
今回の法案において、論点・課題として挙げられている事項が次の6点です。
① 性自認→性同一性→ジェンダーアイデンティティの混乱
⇒どれも意味合いは変わらないものの、「当事者の認識次第で性別が決められるのか」といった批判の声が上がり、”ジェンダーアイデンティティ”という言葉となった。
② 差別は許されない→”不当な”差別はあってはならない
⇒“正当な差別”が存在しているかのように誤認できることへの強い批判の声が上がった。
③ 調査研究を推進→学術研究を推進
⇒学術研究に留められたことに伴い、公的機関の調査を後押しするものではなくなった。
④ 「家庭及び地域住民その他の関係者の協力を得つつ教育」
⇒協力が得られず反対の声があれば、教育が出来ないのではと疑問視する声が上がった。
⑤ 全ての国民が安心して生活することができるよう留意
⇒性的マイノリティがマジョリティの安全を脅かすかのような存在とみなす「牽制」のような文言だという批判の声が上がった。
⑥ 法案を受け、厚労省が公衆浴場での男女の取り扱いについて通知
⇒身体的特徴に基づいた運用を求める指針。
2.コミュニティの反応
LGBT理解増進法案に対する抗議デモや実社会の変化に対し、世界的なバックラッシュが起きていることに伴い、双方の不安や批判の声にも耳を傾けながら、企業としての意思決定やリスクへの適切な予見・スタンスを持つことの重要性が高まっています。
当社で実施したアンケート調査によると、同法案に対して当事者としても「反対」派が多く(賛成=25.6%・反対=38.2%)、「むしろ差別が進んでしまうのではないか」と懸念や不安を感じている割合が多いことがわかりました。また、国や自治体・企業に求めるものとして「同性婚など、LGBTに関する法律制定に向けた賛同といったアクション」「同性パートナーシップ制度の導入」を挙げる方が多いことも明らかとなりました。
3.企業への影響
このような法案の動きを受け、企業には以下のような対応が求められるのではないかと考えています。
① 普及啓発:LGBT研修の実施や情報提供による理解増進 等
② 就業環境の整備:就業規則の改定や差別禁止規定の策定、トランスジェンダーの適合に関するサポートの実施等
③ 相談機会の確保:社内外のLGBT相談窓口の設置等
4.最高裁判決について
性別変更に関する最高裁判決では、「性同一性障害特例法」性別変更の5要件のうち、申立人により、生殖不能要件が違憲となり、外観要件は高裁へ差し戻しとなりました。外観要件が残ることで、トランスジェンダー男性は、多くの方が性別適合手術を受けずに性別変更が可能になる一方、トランスジェンダー女性は引き続き外観要件を満たすための手術が必要になることが今後争点となります。
トランスジェンダーのトイレ利用に関する最高裁判決では、施設の性格や利用状況にも合わせ、個別の実情に応じ、適切な対応が求められるとの見解となったことに伴い、「性自認に即した生活のための最大限の支援」「具体的事象ベースでの個別対応」「激変緩和措置を要する場合も、長期的な措置の緩和」が、企業に求められる内容と判決の中でも記載されています。
LGBT法案によって求められる努力義務に、各企業は取り組む必要性があります。LGBTQ+を取り巻くバックラッシュや世論の分断が起きているからこそ、客観的な事実や具体的事象に基づき、自ら考え、アクションを起こしましょう。トランスジェンダーを取り巻く法整備は大きく変わりつつあるため、企業として職場環境の整備は重要な人権課題であることを再認識することが必要です。
D&I AWARDカンファレンスやD&I検定等を、皆様の職場での理解促進に活かしていただきたいと思います。
⇒D&I検定のご案内ページはこちら
【PART2】 野村ホールディングスにおけるDEI推進 ~ダイバーシティを組織の力に~
野村ホールディングス株式会社 中西 康恵 氏
当社では、先ず初めに2015年人事部門の中にD&I推進を専門で担う組織を設置し、その後、経営アジェンダの変遷に伴い、コンダクト推進部、サステナビリティ推進室を経て、2023年人事部門の4つ目の部室として、DEI推進室が設置されました。
野村グループの中核会社である野村證券は1925年に設立、その後の時代の変化に伴い、業態を変え、日本と世界の資本市場を結ぶ多様性豊かなグローバル金融サービスグループへと成長しています。
そのため、野村グループの最大の財産は人材です。私たちは、多様な社員が、風通しのよい環境で、心身ともに健康でいきいきと活躍することで、新しい発想や、より付加価値の高いサービスを提供していくことが出来ると考えており、企業理念・人的資本・サステナビリティ推進など様々な考え方の中にダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン推進の考え方が組み込まれています。
当社では全世界26,000名超の社員のうち、約4割が女性であり、CHROの尾崎由紀子をリーダーに、一丁目一番地であるジェンダーの課題に取り組んでいます。また、男性の育児取得促進にも力を入れており、今年、育児休業取得奨励金を導入すると同時に、全野村證券社員にDEI推進課題を必須として設定し、管理職登用計画・実行や育児休業等での不在者の支援等の取り組みを人事評価に結び付ける施策を導入しました。
その他、疾病・介護・障がい・ジェネレーション・キャリア採用・LGBTQ+等、様々な属性の人々が働きやすい職場づくりを進めるとともに、一人ひとりの働き方、考え方、リーダーシップスタイル、価値観・経験を活かすことができる職場環境をめざし、取り組みを進めています。
当社ではトップダウン・ボトムアップ双方の活動により、これらの取り組みを推進しています。トップダウンでは、サステナビリティ委員会傘下のワーキンググループにてDEIの課題を取り上げ、その課題を野村ホールディングス全体で議論する会議を年1回実施すると同時に、各リージョンや営業部門等、粒感に合った議題を検討し進めていく体制を敷いています。ボトムアップでは、社員ネットワーク(※)の取り組みにより、社員がボランティアベースで啓発活動に取り組んでいます。当社では2008年にリーマンブラザーズより事業承継を行った際にD&Iのコンセプトを導入し、程なくしてこの社員ネットワークの活動を開始しました。
(※)社員ネットワーク・・・「WIN:女性のキャリア」「L&F:健康・育児・介護との両立」「ALLIES:多様な文化・LGBTQ+・障がい者等」をテーマとした3つのネットワークが、社員の自主的な活動により運営している(グローバルにも同様のネットワークあり)。
LGBTQ+への取り組みとしては、2019年に制定後、2020年にEquityの考えを追加した野村グループDEIステートメント、野村グループ行動規範やコーポレートガバナンスガイドラインにも、性自認や性指向を含めた多様性を尊重しながら働くことを掲げています。また、国際連合「LGBTIの人々に対する差別解消への取り組み」や「ビジネスによるLGBT平等サポート宣言」に署名し、社外の指針への賛同も表明しています。その他、パートナーシップ制度の整備やトランスジェンダー対応ガイドラインの策定等も実施しています。
社員ネットワークでは、当事者の方を招いた啓発イベント等を開催。プライド月間中は、当社のロゴをレインボーカラーに変更し、グループCEOのメッセージを添えたポスターやパンフレット等のグッズを制作すること等を通じ、アライを増やす活動に取り組み、また各支店での「LGBTQ+勉強会」やコンダクト研修等を実施し、社員に学びを深めてもらえるような仕掛けづくりをしています。当社独自の活動だけでは限界があるため、プライドハウス東京等のNPO法人と連携したイベントも実施しています。東京レインボープライド(LGBTQ+への認知を向上し、本人の性指向、性自認に関わらず誰もが自分らしく生きることができる社会を実現することを目的とするイベント)には、2015年から9年連続で参加しており、経営トップ・役員・各支店長を含めたメンバーが参加することで、トップメッセージにも繋がり、また当事者の方との会話も生まれています。
これらの様々な取り組みにより、「OUT standing LGBTQ+ Role Model Lists 2023」(職場におけるLGBTQ+インクルージョンを通じて、ビジネスの多様性と変革を推進しているリーダーを紹介する取り組み)に、野村グループから2人の社員が選出されました。「PRIDE指標2023」(職場におけるLGBTQ+への取り組みの評価指標)では、すべての項目で基準を満たすと評価され、最高位の「ゴールド」を8年連続で受賞。「コレクティブインパクト型レインボー認定」(自社単独の取り組みで出来る範囲を超えて、LGBTQ+の人々が自分らしく働ける職場・社会づくりに中長期的にコミットメントする企業を後押しする評価指標)を3年連続で受賞する等、当社の様々な活動に対して社外各方面から評価をいただいています。
本日の講演が皆様にとって、自社の強みを活かして何が出来るかを一緒に考えるきっかけになればと考えています。
【PART3】 対談 「すべての人が自分らしく働きやすい社会を実現するために」
株式会社JobRainbow 星 賢人 氏
野村ホールディングス株式会社 中西 康恵 氏
(1)LGBTQ+に対する理解浸透について
■星氏
理解浸透が進んでいる企業とそうでない企業の違いは、以下2点にあると考えています。
① 危機意識が醸成出来ているか
ダイバーシティやLGBTQ+に関する理解が低いことが、その企業にとってコンプライアンス上の大きなリスクになり得ると同時に、イノベーションを起こし成長していくことが難しくなるという危機意識をしっかり持てているかどうかが重要です。
② ロジックとエンパシーの双方を重要視出来ているか
離職率の低下や生産性向上といった数値で見せるロジックと、個人のライフヒストリーへの共感の双方を重視し、企業としてメッセージを発信することにより、理解浸透が進んでいくと思います。
■中西氏
当社の場合、リーマンブラザーズからの事業承継に伴い、メンバーが多様になったという、言わば外圧により危機意識が醸成された部分もあります。経営アジェンダから危機意識を持ち、全員で参画していくためのひとつとして、LGBTQ+の施策もあると考えています。また、実感値をどう持ってもらうかという観点では、東京レインボープライドのようなイベントに実際に参加し、体験してみることも大切です。トップ自らが時間を割いて参加することは、トップメッセージに繋がると同時に、アライとして宣言していることにより、当事者との会話を通して気付きを得ることも多いかと思います。
(2)LGBTQ+の支援策として企業に求められることについて
■星氏
以下3点が重要であると考えています。
① 世の中にある調査データを参照する
Indeedの調査によると、当事者が求めていることは「上司の理解」と「カミングアウトせずとも良い人間関係を築ける」ことだとされています。担当者の目線では”カミングアウトしている当事者がいないため、どのような施策が必要か分からない”という声もある一方、当事者としては”カミングアウトしなくても信頼関係を結ぶことが出来る”環境を求めているため、上司や同僚とのコミュニケーションにおいてそのような環境をつくることが重要です。
② エンゲージメント調査に当事者が匿名で回答可能な項目を追加する
匿名調査項目を設けることで、企業によっては全体の3~8%程の回答を得られるケースもあります。
③ 制度的な不備がないか確認する
例えばパートナーシップ制度で、既存の福利厚生と同じルートでの承認が必要なケース等が考えられます。何人もの上司にカミングアウトしなくても、特定の承認ルートを作り明確にすることで、当事者が求めている制度に近づけるのではないかと考えています。
■中西氏
当社でのパートナーシップ制度は、利用希望者は人事の限られた担当のみに連絡が来る仕組みにしています。また当社のトランスジェンダーガイドラインは、当事者がいたからではなく、予め策定したものです。将来を見据えた際に、会社としてどう対応すべきかを事前に明文化しておくことは重要であると考えています。”制度の利用がなく実態が分からない”場合には、専門の第三者のプロフェッショナルの意見を聞くことも可能ですし、自らがイベント等に足を運び行動することが制度作りの第一歩になると思います。
(3)LGBTQ+支援策の優先度と進め方について
■星氏以下3点が重要であると考えています。
① インターセクショナリティの視点
交差性(例:トランスジェンダー×外国籍 等)を持てば持つほど、より働きづらさや生きづらさを抱えやすいと言われています。1つ1つの課題に別々に取り組むのではなく、全てに繋がりがあると考える必要があります。
② リソースの観点
LGBTQ+の取り組みは、制度変更等に最初は労力が必要ですが、他の施策に比べて1度整えてしまえば、その後は繰り返し浸透させていくフェーズに移るスピードが早いと言えます。早く取り組めば、その分効果が大きいことも特徴です。
③ ゴールと時間軸をダイバーシティ全体で決める
アジェンダ毎に優先順位を付けるのではなく、施策毎に考える必要があると考えています。大きなテーマで考えすぎず、各々のテーマで時間がかかるものとすぐにやらなければならないものとを切り分けて整理すると良いのではないでしょうか。
■中西氏
当社では年間計画の中で、強弱をつけながら様々なアジェンダに取り組んでいます。例えばプライド月間や国際女性デー等、外部でのイベントに合わせて、月間計画を立てながら年間を俯瞰し、バランスよく様々なアジェンダに取り組めるよう意識しています。当社でも女性活躍推進がDEIの取り組みでは優先課題ですが、社会の捉え方が”男らしさ・女らしさ”ではなく、”自分らしさ・多様なバックグラウンドや考え方の人材が全員参画することでイノベーションが生まれる”という観点に変化したことを鑑みると、女性活躍のアジェンダもLGBTQ+のアジェンダも同一線上にあるのではと考えています。
DEI推進は、その担当者だけが取り組むのではなく、世の中で何が起きているのかをしっかりと把握した上で、各々が自分ごと化し、危機感と当たりまえ感を持ち、多くの方を巻き込みながら取り組むことで、限られたリソースを最大の成果に繋げることが出来ると思います。
◎研究会を終えて
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研究会の内容は参考になりましたか
(参加者アンケート結果から) -
参加者の意見・感想は・・・
専門的な観点および企業の生の事例の両輪から、様々なお話を伺うことができ、大変参考になった。どこから、何に手を付ければよいのか頭を悩ませていたが、出来ることから先ずは進めていきたい。 自分はまだまだ勉強不足なので、星さんのお話(D&I→DE&I→DEIB)がとても勉強になった。中西さんのお話からは、自分が今、『自分らしさ』を尊重し、仲間で仕事をしていくための活動をしているという自信が付いた。活動している人が頑張るだけでなく、そう思う人を増やし組織として成長していけるように今後も活動を推進していきたい。とても力強いメッセージを頂き、感謝している。 中西さんの社内施策も大変勉強になったし、星さんの『対立ではなく相互理解が大切』という言葉も心に残った。お互いを知ることで初めて、相手のことを思いやったり、想像できたりするので、LGBTQの当事者の方々の背景を知ろうとする姿勢が、前提として必要だと思った。ただ根底として、みんな違って当たりまえという考えを、社員それぞれが持っているかどうかが、LGBTQ支援策が浸透するかどうかのキーワードになると思うので、そのことに気付けるきっかけづくりの場を社内で作っていくことが必要だと思った。社員それぞれが、自分で腑に落ちたときに初めて、自分は自分らしく、他の人もその人らしくて良いんだとお互い尊重し合い認め合える風潮ができると思った。未来を担う子供の教育にも関係することでもあり、大変勉強になった。 2023年のD&Iのトレンドと未来予測や当事者が困っていることを伺う機会がなかなかないので、とても勉強になった。また、問合せがある前から制度を整えておくことの重要性も、その理由を伺い納得した。 大変勉強になった。会社での取り組みや、当事者としての話を聴けたのが貴重だった。そして相互理解が大切であるということを再認識した。 お二人の説明が分かりやすく、また質問に対してもひとつひとつ丁寧に回答していただき、これから施策の検討を進めていく上で、とても参考になった。社員から質問を受けそうな内容もあり、発信や回答時の参考にさせていただきたい。当事者が把握しにくく、課題感が見えづらく、なかなか取り組みが進められていないテーマだが、だからこそ動いていかなければならないと感じた。 お二人からDE&IやLGBTQ+に関する施策の考え方や具体的な事例を伺い、DE&Iの全体の取り組み内容の修正や、LGBTQ+の取り組みを実践しようと思った。お二人の説明がとても分かりやすく、腹落ち感があった。 東京レインボープライドにおいて、野村ホールディングスの活動をとてもうらやましく拝見していた。本日の講演を聴いて、ここに至るまでに約10年の歩みがあったことを理解した。私の会社の取り組みはまだ始まったばかりだが、DE&I推進を新鮮な想いで当事者の皆様やJobRainbowの皆様と慎ましく推進していこうと思った。 LGBT法等の企業を取り巻く環境から、企業が取り組むべきことまでを短時間で解説してもらい、大変参考になった。またLGBTQ+への支援にあたって重要なポイントや具体的なエピソードを伺えたのも、ありがたかった。支援に対してLGBTQ+当事者から反発を受けることがあるという話は、女性活躍推進にも通じるところがあると感じた。本日の講演内容を参考に、今後の自社の取り組みを検討したいと思う。 LGBT施策において、自分たちの考えを表明したり、賛同してくれる人に声掛けしたりというアクションがとても重要なことがわかった。時間はかかっても自発的な取り組みを促す施策を、継続的に実施していくことの大切さも再認識できた。 星さんが言っていた、LGBTQ関連施策は最初のとっかかりにエネルギーが必要だが、一度立ち上げれば、他のテーマと比べて繰り返しの周知も多く、取り組みが進みやすいという点は、我々も実感しているのでその通りだなと思った。実際に取り組みをスタートして4年だが、かなり変化があったと感じている。それに比べると、女性活躍推進など歴史ある取り組みのほうがむしろ根が深く、一気に変えていく事がなかなか難しいと感じている。 星さんの『経営やビジネスの視点から考える』というメッセージがとても刺さった。また、野村ホールディングスの取り組みも、その始まりは外部要因(M&A)だったということを伺い、我が社も時代の要請に応えて前向きに取り組もうと感じる情報だった。 星さんが言われた理解してくれない人は悪い人だと考える事への注意等、取り組みを進める中での具体的なポイントがとても参考になった。 野村ホールディングスが、LGBTQ+をはじめとしたDEIに関する様々な取り組みを先進的に行っていることは以前から聞いていたが、特にLGBTQ+施策をトップ自らが進んで表明されていることやイベントにも自ら参加されていることに驚きと感銘を受けた。女性活躍に関してはコミットするトップが多い中で、LGBTQ+に関しては女性活躍ほどには注力しない方が多く見受けられる。星さんには是非当社に講演に来ていただければと思う。 -
登壇者の感想は・・・
株式会社JobRainbow 星 賢人 氏
「D&IからDEI、そしてDEIBと拡がる中、多様性を活かす流れは世界的に加速しています。国内でも専門性の高い人財(ダイバーシティ担当等)が求められているものの、その供給は全く追い付いていません。本日のセミナーでは沢山の質問も頂き、セミナーを通じて、そうした担い手の皆様の和が拡がっていくことへの期待が高まりました。これからの10年が一つの要になります。引き続き、盛り上げていきましょう!」野村ホールディングス株式会社 中西 康恵 氏
「事前アンケートから皆様の強い課題意識、率直な思いや悩みなどに触れ、出来る限りお役立ちできればと、当社におけるフレームワークや制度整備状況、風土醸成の取り組みをご紹介しましたが、多少なりともご参考になったなら幸いです。業態や環境の違いもありますし、何より当事者個々のニーズは多様であり、絶対解はありませんが、アライを増やす活動など、誰もが自分らしくいられるようなアクションを、今回時間を共有したことを契機に、皆様と一緒に取り組んでいければと思います」