ホームセミナーセミナーレポート人事実践セミナー 2022年7月27日

セミナーレポート

人事実践セミナー

人事/人材開発の仕事を題材に“アンラーニング”を学ぼう!

株式会社インソース 講師 小田部 隆 氏

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“VUCA”と呼ばれる不確実な時代、これからのビジネスパーソンにとって、従来の仕事のやり方に固執し、これまで身に付けてきた経験だけを頼りに生き抜くことは難しくなりました。また、激変するビジネス環境において、企業が成長を継続するためには、常に新しい視点を得ながら、変化に柔軟に対応する必要があります。こうした理由から、これまでとは違う新たな学びが必要となっている今、「アンラーニング」はそのための手法として注目されています。

今回のセミナーでは、(株)インソースの小田部氏の講義に加え、人事/人材開発の仕事での具体的なシーンを題材にしながら、個人ワークや参加者同士の情報交換・意見交換を通じ「アンラーニング」による“学びほぐし”を体験してもらいました。

1.「アンラーニング」とは何か
「アンラーニング」とは、学びを入れ替えることであり、「アンラーニング」のねらいは、これまでに身に付けた、従来の「やり方」や「考え方」は棄却しつつも、その過程で習得した本質的な学びは残し、そこに新たな「やり方」や「考え方」を取り込み、さらにレベルアップした仕事へと進化させていくことです。既存の枠組みの中で、知識や経験を身に付けていく「積み上げ型の学習」ではなく「アンラーニング」を行い、常に新しい知識や考え方を習得し続けながら、時代にキャッチアップしていくことが求められているのです。
セミナーの中では「アンラーニング」すべきものとして、①仕事の進め方や手順 ②顧客やマーケットの捉え方 ③考え方や価値観 ④マネジメント方法 ⑤自己理解 の5つを例に挙げ、具体的に説明して頂きました。
一方、「アンラーニング」を阻害する、学んだことを手放せない理由として、①過去の経験や学習が成果につながり始める時に「余計なこと」はしたくない ②「まだ大丈夫」と変化を受け入れることを拒む心のメカニズムである「正常性バイアス」 ③過去の「成功体験」への執着 の3つを例に、個々のケースについて説明して頂きました。

2.3つのステップで取り組む「アンラーニング」の進め方

《ステップ1》 「内省」 ~硬直化した自分の思考を振り返る~
まず①「無意識にやっていること」 ②「前例踏襲でやっていること」 ③「決まり事としてやっていること」 ④「変えたくないと思ったこと」の4項目を軸に、客観的視点で「文字化」しながら洗い出しを行います。この洗い出された項目が硬直したやり方であると疑われるものであり、「アンラーニング」すべき候補となります。

《ステップ2》 「選別」 ~本質だけをクリティカルに見極める~
ステップ1で洗い出した項目を「残すべきもの」と「変えるもの(「アンラーニング」の候補)」に分けます。その際、クリティカルな視点を持ち、以下3点の選別基準〈 (ア)合理性 が認められない (イ)それ以外のやり方でやったことがない (ウ)実は自分もそのやり方に納得していない 〉にてチェックします。

《ステップ3》 「行動」 ~あえて違うやり方を自分に強制する~
ステップ2で「選別」したものに対し、いよいよ行動に移します。①行動を変えるには“強制”が必要 ②行動を通して新たな「やり方」「考え方」を模索する ③「アンラーニング」の効果が見えない時は、元の「やり方」や「考え方」に戻せばよい という3つの点を考慮しながら、「アンラーニング」を進めていきます。試行錯誤を行う中で、どんな変化が起きるのかを楽しみにしながら「アンラーニング」に取り組むくらいが丁度良いでしょう。

3.「アンラーニング」を組織活性化に活かす

ビジネスや働き方の枠組みが大きく変わる今、若手からベテラン・シニアまで常に成長し続けることが求められている今、「アンラーニング」は、あらゆる階層のビジネスパーソンに必要だと言えますが、組織がその機会を意図的に提供することで促進されます。また「アンラーニング」は、組織課題解決の面では、①生産性向上のためのやり方の見直し ②新規事業や新商品開発における突破口 ③変化に応じたフレキシブルな人材活用 という主に3点に有効です。

そして「アンラーニング」を推進する際に注意して伝えるべき点として、①今までやってきたことが「無駄」と否定するのではなく、「次の成長のために一旦「やり方」を忘れてみよう」ということだと、誤解なく伝えること ②「アンラーニング」の最中は「ラーニング」ができないわけではなく、両者が同時進行で行われるのが一般的であることを伝えること ③「アンラーニング」における「内省」とは「反省」とは違い、自分自身を客観的に見つめ直し、新たな“伸びしろ”を見つけることに意識を向けることが重要であることを、示して頂きました。

小グループでの情報交換や意見交換を繰り返す中で、徐々に議論が深まっていき、最後は「アンラーニング」をどのような目的で組織において活用していきたいか、また、そのためにどのような取り組みが必要だと考えるかを、グループ内で発表し合いました。

激変するビジネス環境におけるビジネスパーソンが、変化に柔軟に対応するための「アンラーニング」という新しい視点を示して頂き、今回のセミナーは締めくくられました。

◎セミナーを終えて

  • セミナーの内容は参考になりましたか
    (参加者アンケート結果から)

    グラフ
  • 参加者の意見・感想は・・・

    アンラーニングについては、書籍等で情報を得ていたが、研修を通じて学ぶとなると、どのような感じになるのか興味があり今回参加した。グループの方の意見を聴け、とても参考になった アンラーニングは考えてはいるものの、しっかりと向き合ったことのない分野だったため、とても面白かった 自分の専門領域(=チェンジマネジメント)に関連する内容で、勉強になった。変革を始めるかなり初期の段階でやらなくてはならない作業だと思うので、自分がドライブする変革ではない場合に、この活動自体の計画化・予算化が難しいのがチャレンジングだとは思う。でも何らか具体的なアクションに繋げていきたい 講義内容は興味深く参考になったが、これをどのように社内に落とし込み、社員に実践してもらうかがまだピンと来ていない アンラーニングを実践できる社員は問題ないが、アンラーニング出来ない社員に対する方策が知りたい。とりわけ中高年層の思考を変えてもらう方法がなかなか思いつかない
  • 登壇者の感想は・・・

    株式会社インソース 小田部 隆 氏

    株式会社インソース 小田部 隆 氏

    「各企業で”変革”などに対応するには、現業務を今求められる知識・スキルにアップデートする「学びほぐし」の手法も重要視されています。受講者の皆様には、学びほぐしのステップを自業務をベースに体感して頂きました。難しい内容だったかもしれませんが、積極的に発言・傾聴をして頂き、参加者同士の相互啓発から多くの学びがあったように感じております」