自律型人材に必要な思考法と言語化能力
~思考法の使い分けと言語化の実践と応用のコツ~
ビジネスコーチ株式会社 統括パートナーエグゼクティブコーチ 久野 正人 氏
このセミナーの案内を見る今回の公開体験セミナーは、ビジネスコーチ(株)の久野正人氏を講師にお招きし、自律型人材に必要な思考法とは何か、そして場面や状況に応じて、どのように思考法を使い分けたらよいのかを、講義と個人ワークとペアワークを繰り返しながら、久野氏の豊富な経験・体験からの知見と情報を紐解いてもらう学びの場としました。以下は、久野氏の講義の要旨です。
最初に「自律型人材」の定義を、以下にある日経連「今後のわが国大学改革のあり方に関する提言」から考えてみたい。
『技術革新が急速に進む中、自らの問題意識に基づいて課題を設定し、その解決に向けて主体的に取り組む能力を有する人材。また、文系理系を問わず、多様で幅広い知識と教養、リベラルアーツを身に付け、それを基礎として自ら深く考え抜き、自らの言葉で解決策を提示することができる人材。即ち、イノベーション人材が求められている』
上記に記されるイノベーション人材こそが自律型人材であり、自らが主体的に目的地を設定し、現状とのギャップ、即ち「問題意識」を「課題」として顕在化すること。そして解決策を打ち出し、行動ができる人材が求められている。そのためには、日常の仕事の処理だけではなく、内省を通じて、気づきの概念化から新たな実践を行うという「ダブルループ・ラーニング」が必要となる。そして、よりよく生きるために必要な「知的な力」としてのリベラルアーツを学ぶことは、「深い思考力」と「言語化能力」を養うために必要不可欠であり、自律型人材に必要な素養と考える。
そして、より本質的な答えを導き出しアウトプットするためには、物事の現象から即対応しようとする、いわゆる「対処療法」ではなく、その現象から要因を見つけ、仮説を立て、課題を明確化し、解決策を講じる。このように、現象と課題の違いを意識することが非常に大切だ。
最後に、自律型人材に必要な課題解決のための思考法として、以下に示す4つの思考法のポイントをお伝えしたい。
①コンセプチュアル思考(具体と抽象)
・具体と抽象を行き来し、表層的な問題解決から、根本的な問題解決へと導く。
②クリティカルシンキング (批判的思考)
・思考のパターンやクセに気付き、思考の枠を広げるために、自らの考えを意図的且つ批判的に見直す。
③4つの思考サイクル
・ビジョン思考、戦略思考、デザイン思考、カイゼン思考という、4つの思考を駆使し、ビジョンと目標を設定する。
④ビジョン・ドリブン(ビジョン思考&戦略思考)
・自らが未来になりたい姿、「ビジョン」から課題を設定し、解決を図る。
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当社で進めている改革のキーワードのひとつである「自律」について、系統立てて頭を整理する機会となった 講義内容がとても充実しており、大変勉強になったし、参考図書情報もありがたかった。今後も同様の機会があれば、是非参加したい インプットとアウトプットを繰り返す参加型のセミナーだったため、講演形式のセミナーより理解が深まった。今回学んだことを社内で活用できればと思う 久野講師が、参加者のために少しでもたくさんの持ち帰りやヒントを提供しようとしてくれているのがひしひしと伝わってきた(その結果、自分自身の知識不足と不勉強が浮き彫りになったが…)。久野講師ご自身の事例も惜しみなく紹介してくれ、興味の尽きない、あっという間の3時間だった 部下にはよく「将来の目標やビジョンを」と指導しているが、いざ自分自身の10年後は?と問いかけられると、意外とあまり考えていなかったことに改めて気付かされた。本日を期に、自身の将来のありたい姿を見つめ直し、そのために解決すべき課題を考えていきたい 非常にアカデミックな内容で、きちんとした論拠を元に、セミナーが構成されていた。言語化や概念化の部分は、コルブの学習モデルを思わせるが、言語化・概念化することで人は成長すると思う。 思考法について論理立てて、わかりやすく説明して頂いたのが、とても良かった。大谷翔平選手の曼荼羅チャートもとても印象的で、来週高校生向けにジョブカフェワークがあるので、さっそく利用したい ディスカッションとペアワークが交互にあったので、3時間があっという間に過ぎた。その中に実践的なテーマが多く含まれており、とても勉強になった。3か月後ぐらいに同じメンバーで、その後の各社の取り組み等を共有できる場があると良いなと思った ペアワークにて他社の皆様と会話ができ、非常に刺激を受けた。本日のワークで行なったように、自らの今後のビジョンを可視化(言語化)し、進めていきたい コロナ禍でテレワークが増えて時間的余裕ができ、自分自身を内省し、物事を考える機会が増えたため、現在の環境にしっかりと刺さったプログラムと感じた。より良く生きるため、変わるのは上司からなど、気付かされる点がたくさんあった。コロナ禍の在宅勤務で、私も孤立感を感じることがあるが、他社の方と意見交換をする機会が3回もあって良い刺激になった。これからは、縦の繋がりや役職や役割で仕事をするのではなく、横の繋がりや人間としての奥行きが求められているのだと実感した 「自律型人材」は、まずは自分から、自分自身を見つめ直す必要性を実感した。言葉にして頭を整理し、要因・課題を考えていくことは、明日からでも出来る自分を変える方法だと思うので是非実践したい。また、コロナ渦でのセミナーとして、セミナースタイルも時代にマッチして参加しやすく、そういった点でもとても参考になる且つ有意義な時間だった。次回も機会があれば是非参加したい キャリアコンサルタントという仕事柄、相談者に内省を促すことを日々行っているが、自身の内省について改めて考える良い機会となった。出来ることから、まず行動を開始することに繋げようと改めて考えた。1対1のグループワークもとても刺激になった。対面であればその場で名刺交換してネットワークも拡がるのだが、オンラインという制約もあり、雑談や今後の繋がりについて話が出来ずに残念に思った -
登壇者の感想は・・・
ビジネスコーチ株式会社 久野 正人 氏
「様々な思考法があり、それらを知識として習得し、実際に使って考えを言語化する経験をして頂きました。ペアワークでは初対面にも拘わらず対話が弾み、多くの参加者に思考と言語化の価値を再認識して頂きました。講義でご紹介した、大谷翔平選手の高校時代の曼荼羅チャートは、自律型人材育成の思考と行動を整理した、わかりやすい最高のお手本ですね」