コロナ禍にある今、企業に求められる従業員のメンタルヘルスケア
~相談窓口に寄せられる悩みと心の叫びから~
株式会社セーフティネット 代表取締役社長 新村 達也 氏
株式会社セーフティネット 営業本部 シニア・アドバイザー 藤掛 弘美 氏
今回の人事実践セミナーは、コロナ禍での社員のメンタルヘルスケアについて、新たな課題に直面している人事部門の方へ、長年に亙りメンタルヘルス相談の最前線で多くの企業担当者や従業員の声に耳を傾けてきた、(株)セーフティネット代表取締役社長の新村達也氏と、同社シニア・アドバイザー藤掛弘美氏をお招きし、「今だからこそ知ってほしい、メンタルヘルスケアのポイント」を、その想いと共に、お話頂きました。
■メンタルヘルスケアの現状と課題(新村氏の講演要旨)
新型コロナウイルスへの感染症拡大による健康経営や働き方への影響について、2020年4月と6月の調査結果を比較したところ、最も課題を感じる項目が「運動不足」から「メンタルヘルス」へと変化し、メンタルヘルスに関する課題の増加が顕著となりました。
コロナ禍での相談内容の傾向を見ると、昨年はじめはコロナにまつわる健康相談が多かったのですが、緊急事態宣言後、先行きへの不安が増加傾向にあり、「話をとりあえず聞いてほしい」や金銭・家族のことなど、生活にまつわる相談が増加しています。
このような状況下でメンタルヘルスケアに必要な施策は、役割分担の見直しであり、今まで以上に、事業場内産業保健スタッフ等と密に連携を取り、ケアが必要な方を早期発見し、適切な対応をすることが求められています。
■EAP(=従業員支援プログラム)企業のカウンセラーとして、是非今、お伝えしたいこと(藤掛氏の講演要旨)
今回のコロナによるパンデミックは「特殊災害」に分類されており、最も効果的な対策と言われる「自粛生活」がもたらす強い孤独感が、ストレス解消の機会を奪っています。その影響は一般の人々や羅患者のみならず、(残念ながら)医療従事者や配送業者など最前線でケアを提供する方々への差別や偏見的言動までも引き起こしているのです。経済面や生活面の不安と共に、様々な対策を実施しても尚、見えてこない将来に対する不安が蔓延しつつあります。
対象者が拡大し浸透してきた「在宅勤務」の際には、以下3点のメンタルヘルス対策を意識し、身体面・行動名・心理面に対するストレス反応に気付くことが必要です。
(1)業務とプライベートの切り分け(過度な業務集中を避ける、リモハラへの理解等)
(2)コミュニケーション方法の改善(オンラインツールの有効活用等)
(3)在宅勤務の限界を理解(意図的な雑談タイムを設ける等)
カウンセリングの現場も、従来の対面による相談から、電話やオンラインによる相談へとスタイルが変化している今、以下の5ポイントに気を付け、メンタルヘルスの悪化を防ぎましょう。
《メンタル相談の際、気を付けるべき5つのポイント》
①変化に気付く
②アセスメント
③リスクの想定
④社内資源の活用
⑤社外資源の活用
◎セミナーを終えて
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セミナーの内容は参考になりましたか
(参加者アンケート結果から) -
参加者の意見・感想は・・・
リアルなお話が伺え、非常に参考になった。今後、いつ社員から相談があっても良いように準備しておきたい メンタル不調者への対応が、人事部門として重要性を増してきていることを実感している ストレスチェックの2020年の結果の傾向分析は、とても参考になった 前年に比べ、高ストレス該当率が1%減ったというストレスチェックの結果は意外だった 体系的にメンタル面談の手法を学んだことがないので、非常に勉強になった。現場でのテクニカルな部分や、臨床心理のノウハウをもっと学びたい 日々相談に対応されている藤掛さんのお話は、とても臨場感がありリアルで、たいへん参考になった 藤掛さんの経験・実体験に基づいた知見が、たいへん参考になった テレワークになってから、不要不急の雑談の機会は確かに大切だと思った 相談ツールの選択、相談フローや質問のひな形を作っておく等、参考になることがたくさんあった メンタルヘルスの問題を長期間抱えている場合や、何度も繰り返す場合、稀に悪質なケースもあり、会社ではケアし切れないことがある。そのような場合の「問題社員対への対応」について今後のテーマとして取り上げて頂きたい -
登壇者の感想は・・・
株式会社セーフティネット 代表取締役社長 新村 達也 氏
「セミナーを通じて、各社様がメンタル不調者の早期発見を課題とされていることを、改めて認識致しました。早期発見につながるストレスチェックの結果も、どのように活用するかがテーマですが、新しい働き方に応じた対応の必要性を痛感しています。当社として、今後さらに時流に即した施策を講じることができるよう、努めてまいります」株式会社セーフティネット 営業本部 シニア・アドバイザー 藤掛 弘美 氏
「COVID-19のパンデミックにより変容した社会環境の中で、企業に於ける相談体制のあり方も変わらざるを得ない状況があります。これまで減少傾向であった日本の自殺率も、増加傾向にある中、相談を受けるカウンセラーの立場から、ご担当者様にリスクマネジメントの観点で留意点をお伝えできたことは幸いです」