ホームセミナーセミナーレポート人事戦略フォーラム 2021年2月16日開催

セミナーレポート

人事戦略フォーラム

自社に最適な働き方を模索する!
~コロナ禍で加速し進化し続ける「働き方改革」の動き~

ユニバーサルミュージック合同会社 人事総務本部 人事部 部長 齋藤 洋子 氏
株式会社タニタ 経営本部 社長補佐 二瓶 琢史 氏

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今回の人事戦略フォーラムは、グローバルな音楽業界において着実に改革を推進してきたユニバーサルミュージック合同会社の齋藤洋子氏、ヘルスケア業界でユニークな取り組みを実施されている(株)タニタの二瓶琢史氏をお招きし、それぞれの独自性ある働き方改革へのチャレンジ事例と、その成果をお話いただきました。

■ユニバーサルミュージックの変革への挑戦

ユニバーサルミュージック齋藤氏の講演の要旨は、以下のとおりです。

様々な事業会社との合併を繰り返し、約600名の規模の会社となったユニバーサルミュージック。そのメンバーには異業種から参画した人も多く、一人ひとりの多種多様な経験を活かし活躍できる会社となるために、様々な取り組みを実施してきた歴史があります。
その中で特にインパクトが大きかった「勤務制度改革」をご紹介します。「フレックスタイム制度」を導入する際、改めて全社統一の労働時間ガイドラインを設定、音楽業界特有の業務など、ひとつひとつについて「労働時間に含めるものと、そうでないもの」に明確に区分し、「勤怠予実管理シート」にて上長と共に管理を徹底。その地道な取り組みが今日では「自らの勤務時間は、自ら管理する」という、自己管理意識の醸成に繋がったものと感じています。

緊急事態宣言下においては「ワークスタイル3.0」としてフルリモート勤務を導入しましたが、「対面で会う」長年のスタイルに慣れ親しみ、Zoomやチャットを業務上使用してこなかった社員も相当数いました。それに対し、ツールの使い方や、オンラインの特性を理解した上での1on1ミーティングのやり方などを、丁寧にレクチャーし、「互いに配慮して働いていこう」という雰囲気を大切にしながらマネジメントを実施してきました。それがスムーズにワークスタイルの変化を促す結果となりました。

フルリモートによる在宅勤務では、上手く時間をコントロールできない社員もいたため、「on(出社)/off(退勤)スイッチを有効に活用しよう」と、在宅勤務での有効な労働時間管理を促す啓蒙活動も実施してきました。
・当社はフレックス制度を導入しており、それは在宅勤務の場合にも適用する。
・on(出社=お仕事開始)/off(退勤=お仕事終了)は、自らの裁量で決める。
・日中にスイッチをoffにし中抜けすることも可能とする。

これらを改めて周知することで、「働く場所と時間」にとらわれないワークスタイルが、意識や行動を変え、業務効率や業績の向上へと結び付くと、社員一同が納得して業務遂行する土壌が醸成されたのではないかと考えます。

■タニタの考える働き方改革は「日本活性化プロジェクト」

次に、タニタの働き方改革について、タニタの二瓶氏から以下のとおり説明がありました。

タニタは、「日本活性化プロジェクト」という名称で、会社が個人を抱え込む関係から、健全な相互依存の関係をめざし、2017年1月から「社員の個人事業主化」に取り組んできました。

 1)会社に過度の負担をかけることなく、会社に貢献する人の“報われ感”を最大化し、やる気を引き出す。
 2)雇用関係を終了(退職)し、業務委託契約ベース(個人事業主)で、自分の仕事を遂行する仕組みを導入する。
 3)個人の主体性が高まり、ライフスタイルに応じて働き続けることができる仕組みとする。

個人事業主を希望する社員を公募した結果、現在では31名が「活性化メンバー」(=業務委託にて仕事に従事する者の呼称)として、会社との新たな関係を築いています。そのため、
・業務委託開始時は、現在遂行している業務をそのまま継続し、基本報酬とする。
・タニタとは複数年契約を締結することが前提で、会社・個人双方にとって突然、当該委託業務がなくなるリスクを回避する。
など、個人事業主への移行に際して様々な配慮を講じたからこそ、「活性化メンバー」へのチャレンジが実現したと考えています。その結果、「仕事」は会社の指示で遂行するものから、依頼を受けて自らの判断・方法で行うものへと変化し、新しい価値を生み出せる人となる「真の働き方改革」への一助となりました。

現在、「活性化メンバー」として活躍する者の中には、タニタのTwitter戦略担当として労働時間に縛られずイキイキと活躍する人や、社内で培った専門性を活かし、外部企業での講師を務める人など、その活躍のステージは着実に拡がりつつあります。

◎フォーラムを終えて

  • フォーラムの内容は参考になりましたか
    (参加者アンケート結果から)

    グラフ
  • 参加者の意見・感想は・・・

    タニタの個人事業主化は、「自分はどう働きたいのか」を自らが考え実現していくという点において、その根幹をまさに具現化したものだと思った。一方、それを行う上では反発感情もあったのではないかと思うが、その必要性や社員(個人)のメリット等、丁寧に考えてきた支援の枠組みをしっかりと説明してきたからこそ成功しているのだと思った タニタの社内人材活用法は大変参考になった。仮説検証を繰り返しながら非常にスムーズに運用されていることも魅力的だと思う タニタの事例である個人事業主としての働き方を、自社でも再雇用の場面で適用できないか、何とか参考に考えてみたい タニタが取り組む社員の業務委託化の詳細を聞くことが出来て、大変参考になった
  • 登壇者の感想は・・・

    ユニバーサルミュージック 齋藤 洋子 氏

    ユニバーサルミュージック 齋藤 洋子 氏

    「自社の働き方改革を振り返ると、その時代時代の施策の点が線になり、過去から現在そして未来へ向かっていることを、改めて強く感じました。音楽で人々に感動を届ける役割を担う我々だからこそ、クリエイティブに働き方も改革していきたいと考えています。そして今後はグローバル規模で、People, Inclusion & Cultureをキーワードに前進していきたいと思っています」
    タニタ 二瓶 琢史 氏

    タニタ 二瓶 琢史 氏

    「ご参加頂いた皆様の『社員の個人事業主化』への関心の高さを感じ、大変ありがたく思いました。この取り組みは、仕事とは何か、働くとは何かを深く考え、その本質に迫るものと自負しています。皆様が次の一手を考える際に、ご自身が独立した事業主として会社とかかわることもイメージして頂ければ幸いです」