変化を機会と捉え、新たな価値を生む、創造的な組織文化のつくり方
~個人と組織の在り方を探求する空間 「うおつきりん」 から~
東日本旅客鉄道株式会社 村上 悠 氏
ウィルソン・ラーニング ワールドワイド株式会社 三浦 英雄 氏
ウィルソン・ラーニング ワールドワイド株式会社 ベンアイサ 紗依 氏
今回の特別講座は、ウィルソン・ラーニング ワールドワイド株式会社(以下WLW)執行役員 事業開発室長 三浦英雄氏と、同社イノベーション・イネーブルメントチーム ベンアイサ紗依氏より、WLWが展開している「越境リーダーシップ」プロジェクトの活動を、同社が展開中の「個人と組織の在り方を探求する仮想空間“うおつりきん”」のスタイルにて、東日本旅客鉄道株式会社(以下JR東日本)事業創造本部 新事業・地域活性化部門 海外事業グループ 村上悠氏をゲストにお招きし、「誰もが挑戦出来る創造的な組織文化づくり」をメインテーマに、JR東日本の具体的取り組み事例を紹介して頂きました。以下、その要旨をご報告します。
三浦氏は「越境リーダーシップ」を以下のように定義しています。越境リーダーシップとは、想いをもった企業内「個人」のWillが起点となり、既存の枠組みを越境し、社内外の共創を通じて、新たな社会的価値創造を行う行為のこと。
これを実現するために、様々な企業と実践研究を進めた結果、個人起点の価値創造を育む組織文化を醸成するためには、社会的な目的・ビジョンに向けて組織の枠を超えて共創し、事業創造に挑戦する「越境リーダー」。そして、越境リーダーの世界観に共鳴し、価値創造の実現に向けた支援・組織変容を仕掛ける「イネーブラー」。この2つの役割が必要です。価値創造が生まれる創造的な組織文化を醸成するためには、企業の成長フェーズにより、求められる行動様式が異なることを理解し、成長フェーズに合わせたアップデートが必要です。また、価値創造実践者自身も、それぞれのステージを考慮するポイントがあることを知っておく必要があります。
以上のポイントを、三浦氏から解説して頂いた後、創造性を発揮し、変化し続ける個人と組織の在り方を探求する場を、「海と陸の共生の場」である「魚付林」から着想しネーミングした、バーチャル探究空間「うおつきりん」のスタイルにて、JR東日本 村上氏と共に、再現してもらいました。
「うおつきりん」では、リラックスした雰囲気の中、村上氏は、メインパーソナリティーのベンアイサ紗依氏との対話により、素直な言葉で体験談や、そこから得られた多くの気付きを熱く語られました。村上氏の考える「Willをもった社員の誰もが挑戦できる文化をつくるため」のポイントは、以下のとおりです。
・個人のWillを起点とし、主語を「会社」から「私」そして「私たち」に転換する。
・現場の挑戦したい人に相談される、集まってくる、耳を傾ける。
・想いのあるWillをもった個人が挑戦し、事業を創りつづける仕組みを創る。
・事業部門の実践者とコーポレイト部門が連携し、相互理解を深める。
・価値創造の挑戦を応援するレベルは、以下の3段階。
レベル1 共感し、想いを伝え、面白がる。
レベル2 助言する。紹介する。
レベル3 行動し、協働する。
・Willを形にした経験がある個人は、より大きな挑戦をし続ける。
休憩を挟んだ後半は、自社で創造的な組織文化を創るために実現可能な最初の一手となるアクションを、参加者個々人がまず熟考しました。そして、自らが新しい価値創造に挑戦した、そのような志を持つ社員を「後押し」した経験を振り返り、「実行可能なスモールスタートを、どう切ったら良いのか?」を参加者間のディスカッションを通じて言語化しました。
様々な意見が飛び交う中、
「まず、何でもいいからトライしてみよう」
「社内の仲間が、自らが感じていることを話してくれた事だけでも“ありがとう”と承認してみよう」
等、多くの参加者が、今回のテーマを自分事として捉え、ワクワクした気持ちと共に、今後の行動計画を考える絶好の機会となったのではないでしょうか。
◎セミナーを終えて
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セミナーの内容は参考になりましたか
(参加者アンケート結果から) -
参加者の意見・感想は・・・
価値創造をするために、原体験を積み、どう感じるかを言語化することや、それを後押しする支援者が必要だということが、特に印象に残った。まずは「行動」ですね・・・ 支援者がいることは幸せな事で、グループワークで一緒になった方の実体験も、講師の方々の話も参考になった 講義とワークショップのバランスが取れていて講義内容も充実しており、あっという間の3時間だった。また講師の村上さんもグループ討議に入って頂き、コメントを貰えたので、とても良かった 形式的なオンラインセミナーではなく、グループ討議で似た境遇のWillを持った有志の方々のお考えについてもやり取りが出来て、貴重な機会となった 参加型のオンラインセミナーで、大変勉強になった。変化の時代に自分自身が変化していかないといけない事を再認識した 講演に加え、パーソナリティの紗依さんの村上氏への問いかけも良く、内容を深く掘り下げて聴けたと思う 会社内の新事業立ち上げに、とても参考になる内容だった 「イネーブラー」という言葉を、良い意味で使われていたが、共依存を論じる際にも使われる言葉なので、言葉が独り歩きしないよう、両面から理解できるような内容だと、より良いと思った オンラインながら、適度に参加形式を盛り込み、楽しく受講できた プレゼンテーションとディスカッションのバランスも良く、楽しく参加させてもらった -
登壇者の感想は・・・
東日本旅客鉄道 村上 悠 氏
「皆さんの想いと具体的な行動をシェアしたグループでのセッションの時間は、ワクワクしっぱなしでした。創造的な組織文化づくりのためには、一人ひとりの行動の数をどれだけ増やし、いかに高速回転していくかということが大切ですが、そんな風景が想像できたからだと思います。私自身も引き続き、動き続けたいと思います」ウィルソン・ラーニング ワールドワイド 三浦 英雄 氏
「一人ひとりが本来持っている創造性を発揮すること。それは、自然で人間的な人生を生きるということだと思っています。自らの想いで一歩踏み出すことで、共鳴しあう人とつながり、自分のエネルギーを注ぎ、新たな価値を創造する。そんな風景が多く生まれるように、挑戦者を活かす創造的な組織文化を共創していきましょう」ウィルソン・ラーニング ワールドワイド ベンアイサ 紗依 氏
「事前に番組のアーカイブをご視聴頂いていたのか、「うおつきりん」をご存じの方が多く、うれしかったです。変化を機会と捉え、創造的な組織文化を創ることは、容易ではありません。それでも誰もが自分らしく創造性を発揮することを探求していくことに意味があります。次回お会いできる日まで、みなさんの日常が創造的で充実した日々でありますように・・・」