組織のパフォーマンスを高める目標管理 「OKR」を活用する方法~正解のない時代を乗り切る、これからのマネジメントとは?~
株式会社タバネル 代表取締役 奥田 和広 氏
このセミナーの案内を見る 「目標管理の実態と課題」に関するアンケート結果を見る現在「目標管理」を導入している会社は(当協会が今月実施したアンケート結果では)93%に及びますが、なかなか上手く機能していないという声も漏れ聞こえてきます。今回のセミナーでは、チームの成果や個人の貢献を軸にマネジメントをする手法として注目されている「OKR」について、㈱タバネル代表取締役 奥田和広 氏から解説して頂きました。以下に、その概要をご報告します。
■目標管理制度が機能しない4つのポイント
93%の企業で導入されている目標管理ですが、それが機能していない理由として、以下の4つのポイントが考えられます。
1. その場しのぎ・忘れたなど、目標が形骸化している
2. 「何のためにこの仕事をするのか」という、目的共有がなされていない
3. 目標の個別管理により、他部署への理解不足や対立に繋がる
4. 「達成率」だけを見て、挑戦を評価しない
■OKRの定義
以上のような課題を解決する手段として、OKRは以下のように定義されます。
・1個のOに対して、2~5個のKRで構成する
・O(objectives)は目的(目標)であり、何を達成したいのか?どこに向かおうとしているのか?
・KR(key Results)は重要な結果指標であり、どのように目的を達成するのか?目的に近づいていることをどう把握するのか?
■「わくわく」を力に、チームで問題解決に注力する
Objectives=挑戦的・魅力的で「わくわく」する一貫性のある目的をまず設定します。
次に、Key Results=目的を達成するために計測が可能な指針を、簡単ではないが達成可能なものとして設定します。OKRには運用のスピードアップが必要です。3か月事に「わくわく」するチャレンジングな目的を「自分事として」設定し、そして「1on1」や「チェックイン」「ウィンセッション」によりチームに参画する機会を設け、高頻度でフィードバックを実施します。その結果、チームで問題解決に注力するマネジメント力が醸成され、失敗した際に必要以上の罰・不利益を被らないチャレンジングなチームとなります。
■OKRと人事評価
OKRは進捗状況管理ではなく、組織の成長・目的達成を共有しながら優先順位を明確にするものであり、透明性を確保し全社に目的が公開されることが前提となります。その目標達成は人事評価や査定とは直接結び付けずに、挑戦を促進するものであることを忘れてはいけません。
■OKRを導入してみて
最後にOKRを導入した企業からの声を紹介します。
「目的、目標の共有、理解が実施され、優先順位が明確になった」
「対話と承認が、チームで成果を目指す文化になった」
「戦略・優先度の浸透、連動が可視化できた」
「戦略、方向性が理解しやすくなった」
以上のように、OKRの全体像やMBO・KPIとの違いを知ることにより、正解のないVUCAの時代に突入した今、OKRの活用というテーマを通じて、目標管理の必要性を参加者一同、再認識する機会となりました。
◎セミナーを終えて
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セミナーの内容は参考になりましたか
(参加者アンケート結果から) -
参加者の意見・感想は・・・
OKRの概要を理解するには十分且つとても分かりやすい内容だった。一方、その他の目標管理の仕組みやツール同様、運用が一番重要なポイントになるため、どのような制度であっても上手くいくかどうかは結局、自社次第と感じた これまでMBOとOKRの違いが分かったような、分からなかったような、もやもやした状態だったが、今日のセミナーで、自分の中での整理が一歩進んだように感じた。もっと自分なりに資料を集める等、さらに整理を進める必要がある 管理ツールが増えがちな現状、更にOKRを追加することは現実的ではないが、日常的なコミュニケーションの中に、その要素(ワクワクする目標やウィンセッション)を取り込めば、OKRの導入に近しい効果が期待できると感じた 短時間ではあったが、グループディスカッションを通して各社が共通の悩みを持っている事が理解できた OKRと既存の人事制度との接続について触れてもらえたら、より具体性が出てくると感じた。受託業務や事務業務などの定型化された業務を行う組織に、OKRはどのように活用できるのか、あるいは不向きなのかお聞きしたかった MBOやKPIとの違いなど理解できたが、OKRの具体的な活用事例があると、もっとイメージしやすかったと思う -
登壇者の感想は・・・
タバネル 奥田 和広 氏
「コロナ禍でますます正解のない時代に突入しましたが、企業の人事戦略や組織戦略は、大きな転換点に立っています。テーマとしたOKRはもとより、目標管理やマネジメントへの関心の高さを、参加者の皆様から改めて実感致しました。今回のセミナーが、参加企業の皆様の今後の目標管理、組織マネジメント、そしてOKR導入の一助になったならば幸いです」