昨今、「人的資本経営」が叫ばれていますが、多様な社員一人ひとりの適性や能力を活かし、社員個人が持っている様々な知識・経験・ノウハウなどを企業や組織全体で共有し活用することができれば、企業にとって大きな資産となります。変化や競争が厳しくなっている時代に、企業として成長し続けるには、社員の“知”を共有し有効活用することにより、生産性や競争力を高めることが、ナレッジ・マネジメントです。様々な業種・業態の企業から注目され、人材育成にとどまらず、サステナビリティの実現、業務改善と効率化、顧客対応力の強化等、幅広く様々な目的のもとに、最近では多くの企業に取り入れられています。
業務で得た知識や経験等は、特定の部署・部門や社員個人にそれぞれ蓄積しますが、他の部署・部門や他の社員には共有されず、まさに属人化した状態で、せっかく使えるノウハウが活用されないまま埋もれていることも少なくありません。また、優秀な社員が退職してしまうと、その人が持っていた知識や経験、ノウハウが誰にも継承されないといったこともよく起こります。
出社してベテランの社員が新しく入った社員に教育を行うなど、OJTはこれまで、あたりまえのように出来ていましたが、コロナ渦による、テレワークなど昨今の働き方の急激な変化に伴い、知識や経験などを共有・継承することが、なかなか難しくなってきています。また、業務の効率化や属人化を防ぐ観点からも、社員の知識や経験、ノウハウをデータ化し、知識(ナレッジ)として蓄積・共有し活かす、ナレッジ・マネジメントの重要性は、ますます高まっています。
今回の人事実践セミナーは、「気づき、考え、創意工夫する」人材を育み、そのための教え方と学び方を変え、知を共有できる組織になるためには、どうしたらよいかを学びます。
人事・人材開発部門の責任者クラスの方や、部下やメンバーと共に働く管理職の方々にお薦めしたいセミナーです。当協会の会員以外の方も参加できる無料公開セミナーとしましたので、奮ってご参加ください。
【登壇者のご紹介】
株式会社ベーシック 代表取締役 社会構想大学院大学 教授 田原 祐子 氏
- メッセージ
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「人的資本経営」のベースとなるのは、一人ひとりの能力・スキル・コンピテンシーを育み、強くしなやかな組織をつくることです。
一方、コーポレートガバナンスコードの改訂により、「人的資本」とともに「知的資本」も開示を求められており、「知的資本」を生み出すのは「人材」に他なりません。雇用の流動化が進み、副業・兼業も浸透しはじめている状況下でありながら、日本の企業内人材育成の8割はOJTに頼っているのが現状です。 “人”に宿る形式化されていない“知”、「経験知」と「暗黙知」の共有・活用等、「ナレッジ・マネジメント=知の共有・管理」が重要な時代を迎えており、人材の流出を防ぐとともに、企業のかけがえない知的資産を管理するため、人的資本開示の国際規格であるISO30414が創設されたのと同じく、2018年に、知識を「個人」または「組織」の資産として定義し、効果的な意思決定と状況に応じた行動を、組織内に共有するための国際規格ISO30401が公示されました。
テレワークが浸透し、働き方や価値観も変わる中、上司と部下のコミュニケーションの中心に、ナレッジを置き、上司は教え方を変え、部下は学び方を変えていく「知を共有する組織」を構築すべき時が来ています。1on1でのコーチングをさらに充実させ、上司の暗黙知・ナレッジを見える化・形式知化し、部下に伝承していくことが、組織内のコミュニケーション円滑化や知的生産性向上のために重要なポイントになります。また、上司の長年の実践知に裏付けられた暗黙知(ノウハウ・ナレッジ)は、社内で彼らの新たなポテンシャルを見出すだけでなく、セカンドキャリアにも活用できるのです。
- プロフィール
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「知の共有=ナレッジ・マネジメント」を活用し、約1,500社の人材育成・組織開発・新規事業開発を手掛ける。
実践論文は、経産省後援団体で3度表彰。人事・経営・広報・営業・設計・技術・監査等、多くの暗黙知を、研修・マニュアル・教育プログラム・システム等、様々な形に形式知化。
ダイヤモンドオンライン・プレジデント等、暗黙知に関する取材・執筆多数。
日本ナレッジ・マネジメント学会理事。厚生労働省委員。上場企業社外取締役。
【開催日時】
2023年5月11日(木) 14:00~16:00
【参加にあたってのお願い】
本セミナーは、新型コロナウイルス感染防止策として、Zoomを活用したオンラインセミナーです。
ネットワーク環境を整えた上で、ご参加ください。