昨今、多くの企業がDE&I(ダイバーシティ,エクイティ&インクルージョン)を経営戦略上の重要テーマと捉え、精力的に取り組みを進めています。当協会でも、今年の重点テーマを「DE&Iが切り拓く未来」と掲げ各種プログラムを展開しながら、ご参加の皆様からDE&I推進の取り組みや課題等、貴重な情報・ご意見をいただいてきました。その中で、経営層や従業員への理解浸透の難しさや、女性活躍推進・働き方改革等の施策を何のため、誰のために取り組んでいるのか本質が見えなくなっている、といったお悩みが多く聞かれました。
そこで、今年最後のダイバーシティ研究会は、改めて「何のためにDE&Iを推進するのか?」を皆様と一緒に考える機会としました。
富士通のDE&Iを推進する島田歌氏をお迎えし、DE&I推進を通じて目指すありたい姿へ挑戦を続ける同社の取り組みをご紹介していただくと共に、後半では、数多くの企業のDE&Iを支援されてきたコーン・フェリー・ジャパンの川島由妃氏との対談で、「DE&Iの本質的な意味」について意見交換をしていただきます。
人的資本経営を進める経営者、DE&I推進を担う責任者・担当者、さらには人事・人材開発の皆様にも是非お勧めしたいプログラムです。日本CHO協会の会員以外の方でも参加出来るプログラムですので、奮ってご参加ください(参加費無料)。
【プログラムのご紹介】
【PART1】 全社員の多様な力をイノベーション創造に:富士通の挑戦
- 富士通株式会社 島田 歌 氏
【PART2】 対談 「DE&Iの本質を考える」
- 富士通株式会社 島田 歌 氏
- コーン・フェリー・ジャパン株式会社 川島 由妃 氏
【登壇者のご紹介】
富士通株式会社 Employee Success 本部 Employee Relations 統括部 シニアディレクター 島田 歌 氏
富士通は「社員誰もが自分らしく活躍している組織『Be Completely You』」というありたい姿を目指し、2022年にGlobal Vision & Inclusion Wheelを策定してDE&I重点5領域(①ジェンダー、②健康・障がい・アクセシビリティ、③文化・民族、④LGBTQ+、⑤世代間)を宣言し、翌年には2025年度末、2030年度末までの各重点領域におけるKPIを設定、取り組みを進めています。しかし、例えばKPIの一つは女性幹部比率を2030年までに30%にするというものですが、このような数値目標の達成が自己目的化し、なぜDE&Iに取り組んでいるのかという目的や動機が風化していき、ありたい姿からかけ離れた多様性組織を目指してしまう「DE&Iの暴走」が発生するのではないかと懸念しています。
そのため富士通では、どのような多様性組織を目指したいのか、そしてその多様性をどのように発揮するのか、という問いに今一度立ち返り、富士通のパーパスであるイノベーションの創造、そしてマテリアリティの大きな一部であるウェルビーイングの向上が、富士通のDE&I推進の根拠(why)であり、究極の目標であることを再確認し、取り組みの変革に着手しました。富士通がDE&I推進を通じて目指すありたい姿とは、ジェンダーギャップの解消だけではなく、「多様な個である全社員が一人ひとりの多様性を最大限発揮し、イノベーションを生み出している状態」であり、それにより高度に複雑化した社会課題の解決に貢献していくことです。その実現に向けた富士通の挑戦をご紹介します。
社会学博士(英国ケンブリッジ大学)。慶應大学法学部卒業後、三菱商事に「女性総合職」として入社。Diversity 1.0を経験、問題意識が高まったことから、英国LSE修士課程(組織心理学)の奨学金を獲得、渡英。ケンブリッジ大学博士課程では働く個人の主観的キャリア・キャリアオーナーシップに関し日欧比較研究を行う。夫の転勤先ポーランドでは国公立大学客員教授を歴任。富士通への転職を機に娘・息子と共に四半世紀ぶりに日本に帰国。
コーン・フェリー・ジャパン株式会社 シニア・クライアント・パートナー/DE&I部門責任者 川島 由妃 氏
「DE&Iが切り拓く未来」最終回は、1年間のDE&Iテーマの集大成として、「なぜ今DE&Iに企業は取り組むのか、その本質は何を探求していくことなのか」をテーマに掲げた内容です。それは、多くの企業が取り組みに躍起になり、実はなぜ女性を増やすのか、それはどのように企業業績を好転させるのか、このあたりの本質を腹落ちせずに取り組んでいる企業が多いという課題意識から端を発しています。
今回は富士通でDE&Iのリードをされておられる島田さんから、DE&I施策を本質から追求しようとしている富士通様の取り組み事例をお伺いし、その後ご担当者としての想いや苦労話もインタビューさせていただきながら、どの企業のDE&Iご担当者様にも共感いただけるような視点をお届けします。
少しでも、DE&Iの本質をご担当者自らが腹落ちして取り組む企業が増えてくださることを狙いとしていますので、ご関心のある方はぜひご参加ください。
政府系銀行の人事を経て、その後一貫して日米での人事・組織系のコンサルティング会社にて、多くの日系/外資系企業の人・組織の課題解決に従事。
組織戦略に見合う人材活用への関心を皮切りに、米国の大学院で組織心理学の学位を取得した後は、経営リーダーの選抜と育成を専門とし、エグゼクティブコーチングや、インクルージョンをベースとした経営リーダーやトップチームの育成と強化のコンサルティングに多数従事。著書に「Future of Work」(日経出版2022)。
分断が進む現世界の中で、日本人リーダーが調和を尊ぶ強みを生かしつつも、もっと個々人が望む生き方を主張し、それが尊重される関係性の強化にバランスを取ることで、統合に必要なリーダーシップを発揮していくご支援をしていくことが、情熱の源泉。子育てや介護をしつつ、キャリアを大切にしてきた経験も持つ。
【開催日時】
2024年12月5日(木) 13:00~15:00
【参加にあたってのお願い】
本研究会は、Zoomを活用したオンラインセミナーです。ネットワーク環境を整えた上で、ご参加ください。