イノベーション創出や生産性向上を促す「ダイバーシティ経営」 は、少子高齢化が進む我が国における就労人口の維持のみならず、企業の競争力強化や価値向上の観点からも不可欠であり、さらなる推進が求められています。
neuro(脳・神経)と diversity(多様性)。この2つの言葉から生まれたニューロダイバーシティ(neurodiversity)は、 脳や神経、それに由来する認知(情報処理)の働き方など、個人レベルでの様々な特性の違いを多様性と捉え、相互に尊重し、社会の中で活かしていこうという考え方であり、社会運動を指す言葉です。
ニューロダイバーシティは、ダイバーシティ経営を考える上で新しい、けれども本質的な概念です。なぜならば、私たち人間は、今まで考えられてきた以上にそもそも多様な存在であり、あらゆる面で平均的な人など実は存在しないからです。 狭義のニューロダイバーシティ運動の対象となる『発達障害』とカテゴライズされる人たちは勿論のこと、 「脳の多様性」は本来、すべての人に存在する重要な個人差です。その意味で、ニューロダイバーシティは、その人の脳の働き方や情報処理スタイルに合った働き方・学び方を考える眼差しと言えるでしょう。
広義のニューロダイバーシティは「すべての人の脳や神経のあり方」が対象となる裾野の広い言葉であり、「組織の多様性を高め、競争力を獲得する」ことに直結する概念です。企業がニューロダイバーシティ推進を実践することは、そこに働くあらゆる人の生きやすさ・働きやすさに繋がる、さらには組織の多様性の幅を拡げることで、柔軟且つ力強い組織づくりにも繋がる可能性を秘めており、大いに注目すべき成長戦略として、近年海外企業を中心に関心が高まっています。
今回のダイバーシティ研究会は、Neurodiversity at Work(株)代表の村中直人氏をお迎えし、ニューロダイバーシティに関するさまざまな最新情報や知見、取り組みなどを、わかりやすく紹介していただきます。人的資本経営やダイバーシティ&インクルージョンによる競争力強化にご関心をお持ちの方、ダイバーシティ推進や障害者雇用を担う責任者・担当者、さらには人材開発・教育研修の責任者・担当者クラスにも是非お勧めしたいプログラムです。
日本CHO協会の会員以外の方でも参加出来るプログラムとしましたので、奮ってご参加ください(参加費無料)。
【登壇者のご紹介】
Neurodiversity at Work株式会社 代表取締役 村中 直人 氏
- メッセージ
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みなさんは「ニューロダイバーシティ」という言葉をご存じでしょうか?
この言葉は1990年代後半に自閉スペクトラム(発達障害の一種)の当事者によって生み出され、育まれてきた希有な背景を持っています。脳や神経に由来するマイノリティを対象とする人権や雇用のキーワードであると同時に、私たち全員が対象となるダイバーシティ&インクルージョンの新潮流でもあります。ニューロダイバーシティは現在のところ、世界的大企業における自閉スペクトラム者の雇用の取り組みとして知られてきました。それはとても価値ある取り組みです。しかしながら、そういった取り組みは本来、ニューロダイバーシティのごく一部でしかありません。
ビジネスにおけるニューロダイバーシティの本質的な価値は、画一的な業務に人をぎゅっと閉じ込めるような「レンガモデル」から、個人差を科学的に捉えてうまく組み合わせる「Ishigaki(石垣)モデル」マネジメントへの発想転換を大きく後押しするところにあります。今回は、特に広義のニューロダイバーシティ(人類全体を対象とします)に着目し、基本的な考え方やビジネスに取り入れるべき理由、メリットについてお伝えします。それはつまり、組織の「認知的多様性」と「心理的安全性」を高い次元で両立させるイノベーティブな組織づくりの話です。
ぜひこの機会に、あなたもニューロダイバーシティの考え方に触れてみませんか?
- プロフィール
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臨床心理士・公認心理師。
人の神経学的な多様性に着目し、脳・神経由来の異文化相互理解の促進、および働き方、学び方の多様性が尊重される社会の実現を目指して活動。2008年から多様なニーズのある子どもたちが学び方を学ぶための学習支援事業「あすはな先生」の立ち上げと運営に携わり、「発達障害サポーター'sスクール」での支援者育成にも力を入れている。
現在は、企業向けに日本型ニューロダイバーシティの実践サポートを積極的に行っている。
【開催日時】
2023年6月28日(水) 14:00~16:00 *途中休憩あり
【参加にあたってのお願い】
本研究会は、新型コロナウイルス感染防止策として、Zoomを活用したオンラインセミナーです。ネットワーク環境を整えた上で、ご参加ください。