近年、経営環境の激変・少子高齢化の進展・労働市場の変化等を背景に、ダイバーシティ＆インクルージョン及び女性やシニアの活躍推進が叫ばれ、最近では「人的資本経営」を実践する上での、たいへん重要なテーマとしても、ダイバーシティ＆インクルージョンへの取り組みが一層注目を浴びています。
しかしながら、女性活躍推進施策は、両立支援と女性リーダー・管理職の登用や育成がその中心、一方のシニア活躍推進施策はどちらかと言えば、主に役職定年等でポストオフとなった元管理職の男性社員を想定した施策が中心、どちらの側面からも、シニア層の女性には、あまり目が向けられていないのが現状ではないでしょうか。
この世代の女性にフォーカスが当たりにくいのは、働き方やキャリア志向、置かれたポジションが多様かつ複雑であるために一般モデル化しづらく、働く女性本人からも、これからの姿が見通しにくいことも一因のようです。
そこで本研究会は、公益財団法人21世紀職業財団のご協力も頂きながら、人生100年時代や一億総活躍社会という時代背景の下で、企業はどのようにこの層の女性を支援したら良いのか、また、シニア層の女性自身は、どのように、この時代に向かい合ったら良いのかを掘り下げる勉強会にしたいと考えます。
昨年10月12日に開催された日経主催ヒューマンキャピタル2021にて、当協会が『“マチュア世代女性”のキャリア』をテーマとしたパネルディスカッションを実施したところ、会期中のイベントの中で最大の参加者数（350名）となり、本テーマに関する潜在的な関心の高さを実感しましたが、今回はこれに続く第2回目のプログラムです。
法政大学の武石恵美子教授の講演に続き、シニア女性個人と企業に様々な接点を持つ6名のパネリスト/モデレータによるトークセッションにて、女性のキャリア形成やセカンドキャリアについての最新事情と今後の展望を多面的に考察します。
女性活躍、シニア活躍、ダイバーシティ＆インクルージョンに関心のある方であれば、日本CHO協会の会員以外でも参加可能な公開プログラムです。奮ってご参加ください（参加費無料）。
【プログラムのご紹介】
【PART1】 基調講演： 女性のキャリアから考える「キャリア自律」
- 法政大学 キャリアデザイン学部教授 武石 恵美子氏
【PART2】 トークセッション： 人生100年時代における女性のキャリアを考える！
- 【パネリスト】
- 法政大学 武石 恵美子 氏
野村ホールディングス 大谷 英子 氏
沖電気工業 川井 茂子 氏
21世紀職業財団 山谷 真名 氏
キャリエーラ 藤井 佐和子 氏
- 【モデレータ】
- パソナマスターズ 中田 光佐子
【登壇者のご紹介】
【パネリスト】
法政大学 キャリアデザイン学部教授 武石 恵美子 氏
- メッセージ
-
人生100年と言われるようになって久しいですが、100年をどのように生きるかを決めるのは自分です。キャリアを自己決定する「自律的なキャリア形成」の重要性が指摘されるようになってきました。これまで、男性たちは「先人の辿った道をそのまま辿れば大きく外れることはない」という前例主義のキャリア形成で、それなりに満足できるキャリアが形成されていました。けれども、女性達にはそうしたモデルが少なく、仕事か生活か、というような分かれ道に立った時、自身の判断基準で進む方向を選んできたのではないでしょうか。
人生100年時代は、人生＝キャリア（ライフキャリアも含む）が長くなると同時に、キャリアを取り巻く社会変動が激しくなり、人生の岐路が多くなっていく時代です。そこで求められるのは、自分らしい軸をもって進むべき方向を選んでいく自律性だと考えます。これは多くの女性が実践してきたことであり、この点でこれからのキャリア形成を女性が先取りしていると言えるでしょう。
人生100年時代のキャリアが、これまでの男性モデルとは異なることを前提に、女性にそのモデルを見出しながら、キャリアのあり方を考えてみたいと思います。 - プロフィール
-
筑波大学卒業後、労働省（現・厚生労働省）、ニッセイ基礎研究所、東京大学社会科学研究所助教授等を経て、2006年4月より法政大学。お茶の水女子大学大学院人間文化研究科博士課程修了。博士（社会科学）。
専門は人的資源管理論、女性労働論。著書は『雇用システムと女性のキャリア』（勁草書房）、『キャリア開発論』（中央経済社）、『女性のキャリア支援』（共著、中央経済社）、『多様な人材のマネジメント』（共著、中央経済社）、『女性自衛官』（共著、光文社新書）など多数。
厚生労働省「労働政策審議会委員」「労働政策審議会 雇用環境・均等分科会委員」「労働政策審議会 人材開発分科会長」等の公職を務める。
野村ホールティングス株式会社 サステナビリティ推進室 ダイバーシティ＆インクルージョン推進課長 大谷 英子 氏
- プロフィール
-
1991年 野村證券（株）に一般職で入社。成城支店での勤務の後、本社にて、ライフプランサービスでの制度営業、年金に関するソリューション営業や、富裕層向けのサービス提案等の仕事などを経て、野村ホールディングス(株)サステナビリティ推進室ダイバーシティ＆インクルージョン推進課長（現職）。
「あらゆる人材が最大限に自らの力を発揮できる環境を整える」ため、野村のダイバーシティ＆インクルージョン浸透のための各種活動を行っている。私生活では2児の母。
沖電気工業株式会社 コーポレート本部人事総務部
コンポーネント＆プラットフォーム人事総務部 スペシャリスト 川井 茂子 氏
- プロフィール
-
金融機関向け営業部門に初めての女性営業として配属。その後、官公庁向けの営業を経て、営業職向けの教育を担当。その間に出産・育児休職を経験。復職後、グループ会社の教育部門に異動し、短時間勤務をしながら、新規プロジェクトや新設チームのリーダーに就任。2013年沖電気工業（株）にダイバーシティ推進の専任部署が新設された時に、チームマネージャーに就任。以降、グループ全体のダイバーシティ推進、女性活躍推進の業務を牽引。2021年コンポーネント＆プラットフォーム事業を担当する人事総務部に異動。
公益財団法人21世紀職業財団 上席主任・主任研究員 山谷 真名 氏
- プロフィール
-
大学卒業後、（株）リクルート勤務。出産退職後、大学院にて女性労働を研究。政策シンクタンク構想日本政策スタッフ、お茶の水女子大学研究員等を経て、2013年4月から（財）21世紀職業財団職員。お茶の水女子大学では、文部科学省委託事業「ジェンダー格差センシティブな働き方と生活の調和」プロジェクトに従事。日米の女性活躍推進の課題を明らかにした。現在、成城大学・実践女子大学等で「女性とキャリア形成」や「労働とジェンダー」を担当している。
財団では、女性活躍推進や調査分析に関する知見を活かし、調査研究や企業向けの調査・コンサルティングに従事し、100社以上の実績がある。
株式会社キャリエーラ 代表取締役 キャリアアドバイザー 藤井 佐和子 氏
- プロフィール
-
新卒で入社したカメラメーカーにて一般事務職を経て、前職インテリジェンス（現：パーソルキャリア）に転職し、創業期の1994年から8年間、派遣事業部と紹介事業部の立ち上げに携わる。その後起業し、女性対象のキャリアカウンセリング（延べ17,000人以上）や、企業研修や講演にてキャリアデザイン、ダイバーシティ推進、リーダーシップ、EQなどのテーマで年間180以上の登壇実績あり。著書多数。近著は「がんばりすぎないお仕事復帰BOOK」（KADOKAWA）。
【モデレータ】
株式会社パソナマスターズ 代表取締役社長 株式会社パソナグループ 常務執行役員 中田 光佐子
- プロフィール
-
大学卒業後、（株）パソナにて人材業を経験。BPO事業にて複数プロジェクトの企画・構築の支援やマネジメントを担当。2018年4月同グループにおけるシニア活躍支援事業強化のために発足した（株）パソナマスターズの代表に就任。
現在は、生涯現役社会の実現とシニアの新しい働き方や多様な活躍機会の創出をめざし、多くの企業やシニア求職者を支援。厚生労働省における高齢者雇用促進の審議員や企業、各種団体でのシニア活躍・活用に関わるセミナーや研修を多数務める。
2021年9月より（株）パソナグループ常務執行役員を兼務。
【開催日時】
2022年6月27日（月） 14:00～15:30
【参加にあたってのお願い】
本研究会は、新型コロナウイルス感染防止策として、Zoomを活用したオンラインセミナーです。ネットワーク環境を整えた上で、ご参加ください。